ルアーのトレブルフックを交換する際、一般的にはフックの重量を基準にして、
より強く小さいフックにしたり、反対に少し弱くても大きなフックへ変更したりすることが多いと思います。
キハダやカンパチなどを狙うロックショア、ベイトタックルのアカメ、世界の大型怪魚を狙う釣りでは、
基本的に強いタックル、強いライン、強いフックの組み合わせで問題ありません。
一方、近所のシーバスやチニングであれば、比較的細いフックでも、
ドラグを使って時間を掛ければ魚をキャッチできることが多いでしょう。
しかし、そのちょうど中間と言えばよいのでしょうか。
- シイラ、小型~中型青物、大型の鯛系
- スピニングタックルで狙うアカメ
- 海外で狙う中型までの怪魚

この真鯛は痺れましたね。関東の地磯から釣れちゃうんだから堪らない。
この辺りの釣りは、タックルもある程度強い一方で、フックを太くしすぎると貫通しにくくなり、
細くしすぎるとファイト中に伸ばされる可能性があります。
そのため、常にタックル全体のバランスを考える必要があります。
先日、初めて挑戦したシイラキャスティングでは、
MLロッド(MAX60g)、PE2号にBKK Viper41 #1を装着していました。
バイトからフッキングまでは持ち込めたものの、その後すぐにフックアウト。
もちろんシイラが非常にバレやすい魚であることは理解していますが、
今振り返ると、タックルに対してフックが少し強すぎた可能性もあったのではないかと思います。
そこで今回は、PE1.5~3号程度のタックルで比較的大型の魚を狙う際、
線径という視点から、同程度のパワーランクに位置するフックを考えてみます。
本記事は、メーカー公表の線径を基に、筆者が独自に計算・比較した考察です。
実際の強度や貫通性能は、素材、熱処理、フック形状、針先、掛かり方、ドラグ設定などによって変化します。
トレブルフックの外向き・平行・内向きを比較
フックの線径とは?

フックの線径とは、フックを構成している鋼線の直径です。
メーカーのスペック表では、通常「線径(mm)」として記載されています。
一般的には線径が太くなるほど、
- 曲がりにくくなる
- 伸ばされにくくなる
- 折れにくくなる傾向がある
- フック自体の重量が増える
という特徴があります。
反対に線径が細くなるほど、
- 魚の口へ貫通させやすい
- フック重量を軽くできる
- ルアー本来の浮力やアクションを残しやすい
- 強い負荷では伸ばされやすくなる
という傾向があります。
つまり、フックの強さを考える際は、単純に「#1だから強い」「#3だから弱い」と判断するのではなく、
実際に何mmの鋼線が使われているかを見ることが重要です。
線径が太くなると耐力はどれくらい上がる?
同じ素材・形状・熱処理の丸棒を単純な曲げとして考えた場合、
曲げに対する耐力の目安は、線径のおよそ3乗に比例します。
耐力比 =(変更後の線径 ÷ 変更前の線径)³
元の線径と耐力を100%と仮定すると、次のようになります。
1.1³=1.331
耐力 約33%アップ
1.2³=1.728
耐力 約73%アップ
1.3³=2.197
耐力 約120%アップ
線径が10%太くなっても、強さは10%しか上がらないわけではありません。
理論上は約33%も耐力が高くなります。
30%太くなった場合は、元の約2.2倍の耐力になる計算です。
線径がフック強度へ与える影響は、想像以上に大きいことが分かります。
荷重点までの距離も同じと仮定した理論上の目安です。
実際の完成品フックが必ずこの数値どおりの強度になるわけではありません。
線径が太くなると貫通に必要な力はどうなる?

線径が太くなればフックの耐力は大きく向上しますが、その分、魚の口へ貫通させるために必要な力も増えます。
貫通時に押し広げる範囲が線径の断面積に比例すると単純化し、
必要な力が線径の2乗に比例すると仮定した場合、次のようになります。
必要な貫通力の比 =(変更後の線径 ÷ 変更前の線径)²
| 線径の変化 | 貫通に必要な力の目安 | 元のフックからの増加 |
|---|---|---|
| 元の線径 | 100% | ― |
| 10%増 | 約121% | 約21%増 |
| 20%増 | 約144% | 約44%増 |
| 30%増 | 約169% | 約69%増 |
線径が30%太くなると、耐力は約120%向上する一方で、
貫通に必要な力も約69%増える計算になります。
太軸フックは非常に強い反面、ロッド、ライン、ドラグから十分な力を伝えられなければ、
針先だけが魚の口へ乗り、フトコロまで貫通しない可能性があります。
実際の必要荷重を示すものではありません。
フックの大きさと耐力の関係
線径が同じフックでも、フックサイズが違えば、完成したフックとしての耐力が完全に同じになるとは限りません。
大型番手になるほど、一般的にはフトコロ幅やシャンク長が大きくなり、
フックアイから魚に掛かっている位置までの距離も長くなります。
大型フックはテコの原理では不利になる
魚からフックポイントへ力が掛かると、フックのベンドには開く方向の曲げモーメントが発生します。
曲げモーメント = 荷重 × 荷重の腕の長さ
線径と素材が同じで、荷重の腕の長さだけが10%増えた場合、
同じ荷重でもフックを開こうとする曲げモーメントは10%増加します。
反対に、耐えられる荷重として見ると、理論上は次のようになります。
| 荷重の腕の長さ | 耐えられる荷重の目安 | 元のフックとの差 |
|---|---|---|
| 同じ | 100% | ― |
| 10%長い | 約91% | 約9%低下 |
| 20%長い | 約83% | 約17%低下 |
| 30%長い | 約77% | 約23%低下 |
したがって、同じ線径の#2と#1があり、#1の荷重の腕が#2より10%長いと仮定した場合、
単純なテコの計算では#1の方が約9%低い荷重で開き始める可能性があります。
つまり、線径が同じなら、大型番手ほどフックが開く方向には不利になりやすいということです。
魚への掛かり方では大型フックが有利になることもある

SPHでマゴチにもしっかりフッキング。
一方、実釣では単純なテコの計算とは反対の結果になることもあります。
同じ線径でも大型番手ほどフトコロが広く、魚の口や魚体のより深い位置まで刺さりやすくなります。
針先だけの浅掛かりでは、フックポイント付近へ負荷が集中します。
しかし、フトコロまで深く貫通すれば、魚肉を広く捉えやすくなり、
フックに掛かる負荷が安定する場合があります。
その結果、大型番手の方が魚の良い位置へフッキングし、
実釣では伸びたり外れたりしにくくなるケースも考えられます。
・テコの原理では、荷重の腕が長くなり開きやすくなる
・フッキングの深さでは、魚を深く捉えやすく保持力が高まる場合がある
どちらの影響が強く表れるかは、魚種、バイトの方向、掛かった位置、フック形状によって変わります。
そのため今回は、両者のメリット・デメリットがある程度相殺されるものと考え、
フックサイズによるパワー補正は行わず、線径のみで比較します。
なお、理論上の影響度だけを比べると、フックサイズよりも線径の変化の方が強度へ大きく影響します。
荷重の腕が10%長くなった場合の耐力低下は約9%ですが、
線径が10%太くなった場合の耐力向上は理論上約33%です。
がまかつのSPMH・SPH・SPXHを比較
ここからは、がまかつのトレブルSPシリーズから、SPMH・SPH・SPXHの線径と重量を比較します。
SPMH(トレブルSP MH)
SPMHは、シーバスをはじめとした幅広いソルトルアーゲームで使いやすい、比較的軽量なミディアムヘビーモデルです。
| フックサイズ | 線径 | 重量 |
|---|---|---|
| #4 | 1.07mm | 0.73g |
| #3 | 1.16mm | 0.89g |
| #2 | 1.26mm | 1.20g |
| #1 | 1.36mm | 1.50g |
| 1/0 | 1.46mm | 1.80g |
| 2/0 | 1.56mm | 2.30g |
SPH(トレブルSP H)
SPHはSPMHよりも太軸で、大型シーバス、ヒラスズキ、青物などを想定したヘビーモデルです。
| フックサイズ | 線径 | 重量 |
|---|---|---|
| #6 | 1.07mm | 0.65g |
| #5 | 1.16mm | 0.81g |
| #4 | 1.26mm | 1.00g |
| #3 | 1.36mm | 1.30g |
| #2 | 1.46mm | 1.60g |
| #1 | 1.56mm | 2.00g |
| 1/0 | 1.67mm | 2.50g |
| 2/0 | 1.77mm | 3.00g |
| 3/0 | 1.88mm | 3.40g |
SPXH(トレブルSP XH)
SPXHはシイラ、カツオ、ヒラマサ、ブリ、マグロなど、
強い負荷が掛かるキャスティングゲームを想定したエクストラヘビーモデルです。
| フックサイズ | 線径 | 重量 |
|---|---|---|
| #3 | 1.67mm | 2.10g |
| #2 | 1.77mm | 2.60g |
| #1 | 1.88mm | 3.10g |
がまかつSPシリーズの線径対応表
各シリーズを線径の近い番手で横並びにすると、次のようになります。
SPMH・SPH・SPXHを線径の近い番手で比較

比較すると、SPMHとSPHは番手が二つ異なっていても、線径が同じ組み合わせが多いことが分かります。
| 線径 | SPMH | SPH | SPXH |
|---|---|---|---|
| 1.07mm | #4 | #6 | ― |
| 1.16mm | #3 | #5 | ― |
| 1.26mm | #2 | #4 | ― |
| 1.36mm | #1 | #3 | ― |
| 1.46mm | 1/0 | #2 | ― |
| 1.56mm | 2/0 | #1 | ― |
| 1.67mm | ― | 1/0 | #3 |
| 1.77mm | ― | 2/0 | #2 |
| 1.88mm | ― | 3/0 | #1 |
例えば、SPMH #1とSPH #3は、どちらも線径1.36mmです。
同様に、SPH 1/0とSPXH #3はどちらも1.67mm、
SPH 2/0とSPXH #2は1.77mm、SPH 3/0とSPXH #1は1.88mmです。
ただし、線径が同じでも、フトコロ幅、シャンク長、ベンド形状、重量などは異なります。
したがって、実際の耐力やフッキング性能まで完全に同じという意味ではありません。
SPMH・SPH・ST-46・STX-58をサイズ別に比較
まとめ
今回比較して改めて感じたのは、フックの強さを考える際は、
番手や重量だけでなく、線径を見ることが重要だということです。
同じ#1でも、シリーズが違えば線径も重量も異なります。
反対に、番手が大きく異なっていても、線径が同じフックもあります。
線径を基準にすることで、次のような選び方がしやすくなります。
- 現在と同程度の強さを保ちながら、フックサイズを変更する
- ルアーの浮力に合わせて、同程度の線径で軽いフックを探す
- 同じサイズのまま、線径を太くして耐力を上げる
- タックルパワーに合わせて、貫通させられる範囲の太さを選ぶ
特にPE1.5~3号程度のタックルでは、フックを強くしすぎると十分に貫通させられず、
細くしすぎるとファイト中に伸ばされる可能性があります。
強ければ強いほど良いわけではなく、ロッド、ライン、ドラグ、対象魚に対して、
しっかり貫通させられ、なおかつファイト中に耐えられる線径を選ぶことが大切です。
これからフックを交換する際は、
この視点を加えることで、フック選びの精度は一段上がると思います。
フックは強さを求めるほど太くなりますが、太くなるほど貫通には大きな力が必要です。
結局、強度と刺さりの境界線を探すことになります。フック選び、本当に沼ですね。笑
ではまた。
