オーナーばりのSTX-58は、PEライン時代を見据えて開発された次世代トレブルフックです。
一方のST-66は、GT、ヒラマサ、キハダなどの大型魚を狙うフックとして、長年支持されてきた超定番モデルです。
私自身、これまでどちらのフックも使用してきました。
以前は「対象魚に伸ばされない強いフックを選べばよい」と比較的シンプルに考えていました。
しかし、ロックショアやアカメなど、一度のチャンスを確実にものにしたい釣りへ挑戦するようになってから、フックの違いをより細かく考えるようになりました。
強いフックであっても、使用するロッドやラインで十分に貫通させられなければ意味がありません。
反対に、刺さりやすさを優先しすぎて、ファイト中にフックを伸ばされても魚は獲れません。
そんな中で気になったのが、次の2本です。
- ST-66 #3/0
- STX-58 #4/0
この2本は番手こそ異なりますが、メーカー公表重量が非常に近く、ルアーのバランスを大きく変えずに交換できる可能性があります。
- メーカー公式の開発コンセプト
- フック1本あたりの重量
- 太い部分と細い部分の線径
- フックポイントから軸までの距離
- 両モデルの設計思想
- ロックショアや大型魚狙いでの使い分け
メーカー公表情報に加え、筆者が所有するフックをデジタルノギスとデジタルスケールで測定して比較しています。
実測値は製造上の個体差や測定位置によって、多少の誤差が生じる可能性があります。
SPMH・SPH・ST-46・STX-58の重量を表とグラフで比較
ST-66とSTX-58の基本情報
ST-66とは?

ST-66は、ソルトウォーターの大型魚を想定して設計されたエキストラヘビークラスのトレブルフックです。
オーナーばり公式では、エキストラヘビーワイヤーに加え、ゲイブ部分へ平打ち加工を施した、大型魚専用のスペシャルトレブルフックとして紹介されています。
針先には二段テーパーの精密尖頭加工が施され、GTなどの硬い口へ強いフッキングを入れた際に、針先だけが内側へ曲がってしまう現象へ対抗する耐久性と、必要な刺さりを両立することを狙った設計です。
フッキング後は、平打ちされたゲイブによって魚を保持し、曲げだけでなくヒネリへも耐えることが重視されています。
つまりST-66は、
- 大型魚へ強烈なフッキングを入れる
- 高いドラグ負荷で魚を止める
- フックの曲がりやヒネリに耐える
といった、強いタックルによる大型魚との勝負を想定したフックと言えます。
STX-58とは?

STX-58は、多くのルアーフィッシングでPEラインが使われるようになった時代に合わせて開発されたトレブルフックです。
従来の線材とは異なる「タフワイヤー」を採用し、オーナーばり公式では、従来線材と比較して全サイズで10%以上の強度向上を実現したと説明されています。
強度が高まったことで、針先は従来のST-56より5%以上長いロングテーパーに設定されています。
つまり、単純にフックを太くして強度を上げるのではなく、
- 重量を大きく増やさない
- 線材の強度を高める
- 長いテーパーで貫通性能を高める
という設計思想です。
また、PEライン特有の瞬間的な負荷へ対応するフォルムと、速やかな貫通と身切れ防止を両立する針先角度も特徴として挙げられています。
STX-58は、大型魚へ対応できる強度を持ちながら、ルアーアクションとフッキング性能を維持することを重視したフックと考えられます。
ST-66 #3/0とSTX-58 #4/0の重量を比較
今回比較するST-66 #3/0とSTX-58 #4/0は、メーカー公表重量が非常に近い組み合わせです。
| モデル | 番手 | 公式重量 | 重量差 |
|---|---|---|---|
| ST-66 | #3/0 | 6.90g | 基準 |
| STX-58 | #4/0 | 7.30g | +0.40g 約5.8%増 |
公式重量の差は1本あたり0.40gで、ST-66 #3/0を基準にすると約5.8%です。
2フック仕様のルアーでは合計0.80g、3フック仕様では合計1.20gの差になります。
大型プラグでは比較的小さな差ですが、フローティング性能がギリギリに設定されたルアーや、繊細なアクションを持つルアーでは、浮き姿勢や泳ぎ出しへ影響する可能性があります。
それでも、まったく異なる重量のフックへ交換する場合と比べれば、ルアーのアクションを大きく変えずに比較しやすい組み合わせと言えるでしょう。
ST-66 #3/0とSTX-58 #4/0を実測比較
重量だけでは、フックの本当の違いは分かりません。
そこで今回は、デジタルスケールによる重量測定と、デジタルノギスによる線径・形状測定を行いました。
まずはST-66の3/0を計測!


重量はこんな感じ。公式よりちょっと軽いですかね。

こちらはST-66 3/0の線径(平打ちではない部分)

こちらST-66 3/0の平打ち部分

フックポイントとシャフト野距離はこれくらい。
続いてSTX-58の4/0を計測!

続いてSTX-58の4/0。重さは公表通りくらいですね。

STX-58の4/0平打ちではない部分。ST-66と比較すると番手が1つ大きくなっているのでその分太くなっていますね。

STX-58の4/0平打ち部分。ST-66と同じくらいの太さでした。平打ちは同じ太さなのかな?

フックポイントとシャフトの距離はST-66の3/0と同じでした。

こうして比較すると違いが分かりますね。右がST-66 3/0、左がSTX-58の4/0
やはりSTX-58の4/0はサイズが大きい分、針全体が大きく見えます。
ただ、フックポイントが広がるわけではないみたいですね。
この比較をしようと思った時に、
ST-66の3/0からSTX-58の4/0にすれば、
多少線径が細くなってもフックが大きくなり、より魚の深い部分にフッキングできるのではないか、と思っていたのですが、実際は線径も太くなりフックポイントも同じくらいの結果になりました。
※もちろん、STX-58特有の身切れ防止機構はメリットとしてあると思います。
線径やフックポイントから軸までの距離を測定
| 比較項目 | ST-66 #3/0 | STX-58 #4/0 | 差 |
|---|---|---|---|
| 公式重量 | 6.90g | 7.30g | STX-58が0.40g重い |
| 実測重量 | 6.58g | 7.23g | STX-58が0.65g重い |
| 線径① 太い部分 |
2.41mm | 2.52mm | STX-58が0.11mm太い |
| 線径② 細い部分 |
2.02mm | 2.05mm | STX-58が0.03mm太い |
| フックポイント ~軸の距離 |
15.02mm | 15.05mm | ほぼ同じ |
ST-66 #3/0とSTX-58 #4/0の実測データ
・実測ではSTX-58 #4/0の方が0.65g重い
・ST-66を基準にすると、実測重量は約9.9%増
・太い部分の線径はSTX-58の方が約4.6%太い
・細い部分の線径差は0.03mmと小さい
・フックポイントから軸までの距離はほぼ同じ
実測重量の違い
メーカー公表値では重量差は0.40gでしたが、今回測定した個体では0.65gの差がありました。
ST-66 #3/0の実測重量6.58gを基準にすると、STX-58 #4/0は約9.9%重い計算です。
公式重量との差は、製造上の個体差やコーティング、測定機器などによって生じている可能性があります。
いずれにしても、大型プラグ用フックとしては比較的近い重量帯である一方、実測では公式値よりも差が大きくなりました。
太い部分の線径はSTX-58が約4.6%太い
太い部分の実測線径は、
- ST-66 #3/0:2.41mm
- STX-58 #4/0:2.52mm
となりました。
ST-66を基準にすると、STX-58の太い部分は約4.6%太い計算です。
線径はフックの曲げ耐力へ大きく影響するため、この差は強度面で無視できない可能性があります。
ただし、実際のフック強度は線径だけでなく、線材、熱処理、平打ち加工、ベンド形状、荷重の掛かる位置などによっても変化します。
そのため、線径が太いSTX-58の方が必ず強いと断定することはできません。
トレブルフックは線径で選ぶ!SPMH・SPH・SPXHの強さを比較
細い部分の線径差はわずか0.03mm
細い部分の線径は、
- ST-66 #3/0:2.02mm
- STX-58 #4/0:2.05mm
となり、差はわずか0.03mmでした。
太い部分ではSTX-58の方が明確に太い一方、細い部分はかなり近い寸法です。
測定位置や平打ち形状の影響もありますが、両モデルの断面形状や加工方法が異なることが数字からも読み取れます。
フックポイントから軸までの距離はほぼ同じ
今回最も興味深かったのは、フックポイントから軸までの距離です。
- ST-66 #3/0:15.02mm
- STX-58 #4/0:15.05mm
差はわずか0.03mmで、ほぼ同じでした。
STX-58はST-66より1サイズ上の番手ですが、魚を捉える方向の幅はほぼ同じです。
つまり、STX-58 #4/0は単純にST-66 #3/0を全体的に大型化した形ではありません。
フックポイントと軸の距離を近づけながら、線径や重量を増やし、強度を確保した設計と見ることもできます。
番手表示だけを見るとSTX-58 #4/0の方がかなり大きく感じますが、実際の掛かり幅はST-66 #3/0にかなり近いことが分かりました。
針先と設計思想の違い
ST-66は、強度と刺さりを両立するための二段テーパーが採用されています。
硬い口や骨へ強烈なフッキングを入れた場合でも、針先だけが曲がりにくい耐久性を重視した形状です。
一方のSTX-58は、タフワイヤーによって線材強度を高めた分、長いテーパーを採用し、速やかな貫通を目指しています。
また、PEラインの瞬間的な負荷を想定し、身切れを抑えるための針先角度も特徴です。
同じ大型魚用フックでも、
- ST-66:強い入力に耐え、針先とゲイブの耐久性を重視
- STX-58:重量・線径・素材を組み合わせ、強度と速い貫通を両立
という設計思想の違いが見えてきます。
外向き・平行・内向きポイントの特徴を考察
このブログなりの結論
ST-66 #3/0とSTX-58 #4/0は、公式重量が近く、同じルアーで比較しやすい組み合わせです。
しかし、実測結果とメーカーの開発コンセプトを見ると、目指している性能はまったく同じではありません。
ST-66 #3/0が向いている場面
- GTや大型ヒラマサなど、長年の実績を重視したい
- 強いロッドと太いPEラインを使用する
- 高いドラグ負荷で魚を止める
- 岩礁帯で長時間ファイトさせられない
- 平打ちゲイブや針先の耐久性を重視したい
STX-58 #4/0が向いている場面
- 強度だけでなく貫通性能も重視したい
- PEラインの瞬間的な負荷へ対応したい
- ST-66 #3/0に近い掛かり幅を維持したい
- より太い線径と大型番手を選びたい
- アカメや青物など幅広く使いたい
私の現時点での考えでは、
という使い分けになります。
STX-58 #4/0はST-66 #3/0より約10%重く、太い部分も約4.6%太い一方、フックポイントから軸までの距離はほぼ同じでした。
そのため、掛かり幅を大きく変えずに、よりパワーを持たせたい場合はSTX-58 #4/0が有力な選択肢になります。
一方、ルアーの浮力やアクションへの影響を少しでも抑えたい場合や、強いタックルで一気にフッキングを決められる場合は、ST-66 #3/0の方が扱いやすい場面もありそうです。

最後にST-66とSTX-58の番手による重量変化をグラフにしてみました。小型番手では同じ重量になるので好みで使い分けになりますが、番手が大きくなると重量差も出てきますね。
BKK Viper-41の線径・重量を実測してSPH・SPXHと比較
まとめ
今回は、オーナーばりのST-66 #3/0とSTX-58 #4/0を、公式情報と実測データから比較しました。
比較結果をまとめると、次のとおりです。
- 公式重量差は0.40gで、STX-58が約5.8%重い
- 実測重量差は0.65gで、STX-58が約9.9%重い
- 太い部分はSTX-58の方が約4.6%太い
- 細い部分の線径差はわずか0.03mm
- フックポイントから軸までの距離はほぼ同じ
STX-58 #4/0は、ST-66 #3/0より1サイズ上の番手でありながら、魚を捉える方向の幅はほぼ同じです。
そのうえで重量と線径を増やしているため、ST-66に近い掛かり方を維持しながら、より強度を重視した設計である可能性が見えてきました。
一方のST-66は、大型魚用フックとして長年積み重ねられてきた実績と、平打ちゲイブ、二段テーパーによる耐久性が魅力です。
重量が近いからといって、同じ性能のフックというわけではありません。
線径や形状、開発コンセプトまで比較することで、それぞれの得意分野がより明確になります。
一撃をものにしたい釣りでは、フックは魚と直接つながる最後のパーツです。
ロッドやリールには数万円を掛けるのに、最後のフック選びを何となく済ませてしまうのは、少しもったいないのかもしれません。
フックを調べ始めると、結局また別の番手も測りたくなります。今回も無事、沼が一段深くなりました。笑
ではまた。