この記事では、自作ルアーを1年間作り続ける中で学んだ、浮力計算・木材選び・飛行姿勢・アクション設計・塗装についてまとめています。
これからウッドルアーを自作してみたい方や、作ってみたものの「飛ばない・泳がない」と悩んでいる方の参考になれば幸いです。
半分は自分のための備忘録ですが、よろしければ読んでみてください。
初めてルアーを作ったのは中学生の頃。
技術の授業でバルサミノーを作ったのがきっかけでした。
その後、自分でもバチ抜け用ミノーなどを作ってみましたが、泳がない、飛ばない、コーティングすらしていないという散々な出来(笑)。
それ以来しばらく市販ルアーだけを使っていましたが、2025年のフィッシングショーで転機が訪れます。
BKKのブースでフジツボルアーのビルダーさんとお会いし、実物を見せていただきました。

こちらがフジツボルアー。惚れ惚れしちゃう美しさ。(しかも頑丈です。)
ルアーの完成度はもちろん、製作者の方の人柄にも惹かれ、「もう一度自分でも作ってみたい」と思ったのが、本格的にルアー製作を始めたきっかけです。
とりあえず何本も削ってみる
まずは以前のようにホームセンターへ行き、バルサを購入。
オモリは中通しオモリ、ワイヤーは釣具店で購入しました。塗装はまだエアブラシを持っていなかったので、ラッカースプレーでいきます。

こんな感じで、まずは見様見真似で作ってみます。
エポキシはダイソーのエポキシ。
これ、始める方には安くて小分けになっているので個人的にはかなりオススメです。
硬化時間が長めなので、吊るしたまま乾燥させる場合には少し扱いにくいかもしれませんが、ルアーを回転させながら硬化させるコーターがあると色々と捗ります。
そうして出来上がったプラグですが、全体的にデカいですね(笑)。

並べるのが申し訳ないくらいの差が。。(笑)
当時はロックショアを始めたばかりだったので、とにかく大きいルアーを作ろうとしていました。
バルサの比重を考え、オモリを入れて、おおよその浮き姿勢と水面から出る残浮力を計算していました。
自作ルアーメモ①|浮力計算はできるだけ正確に
- 木材の比重は同じ種類でも個体差や部位によって違うため、実際に使用する材料の重量を確認する。
- オモリ用の穴、ワイヤーを入れる溝、ヤスリ掛けなどでもブランク重量は変化するため、製作途中でも重量を確認する。
- 市販ルアーを実際に水へ浮かべ、浮き姿勢や残浮力を観察すると、自作ルアーを調整する際の基準を作りやすい。
そうして出来上がったのが、この頃のルアー達です。
写真の一番下がフジツボルアー。3〜4年ほど前のロットだったと思います。
いやぁ、プロはすごいなぁを通り越して感動すら覚えるレベルですね。
写真だと分かりにくいですが、実物で見ると自作との違いがさらによく分かります。
そして肝心の使用感。
離島の堤防や磯で実際に投げ倒してきました。

離島でPE6号タックルで投げてみました。
結果としては、
- 浮力計算が甘く、うまくアクションしない。引き抵抗も重すぎる。
- 飛ばない。
- そもそも泳がない。潜らない。
- 磯へぶつけると壊滅的なダメージを受ける。
という状況に。

荒削りでしたが、自作ルアーを投げてアクションをチェックするのは楽しいですね。頭の中のイメージが具現化されます。まあほとんど悪い方向にですが(笑)
失敗だらけでしたが、自分で削ってウェイトを入れたルアーが実際にどう動くのかを体験できたのは大きな収穫でした。
プラグの形を考える
そして製作2巡目。
前回はバルサでしたが、ロックショアでは「磯へぶつける」「大型魚から強いバイトを受ける」といった状況を考えると、強度面に不安があると感じました。
そこで素材を桐へ変更します。
さらに、この頃から同じルアーを2本作ってみようと考えるようになりました。
削りながらその場の感覚で形を決めるのではなく、まず図面を作り、同じ形状を再現してみようという考えです。
そして作ったのがこちら。

アルミも貼って可愛い感じになりました。
多少良くなりましたが、まだまだ手作り感あふれるテイストです。
城ヶ島でテストしてみると、これがなかなか良い感じ。

フックをシングル→トレブルに変えるだけでもアクションが変わるので面白いですね。
程よく泡を引き込み、お尻を振りながら泳いでくれます。
ところが、後日沖磯へ持っていくと痛い目を見ることになります。
城ヶ島の堤防ではうまく泳いでいたものの、沖磯では足場が高く、風も複雑に巻き、流れも一定ではありません。
結果として、飛ばない・泳がない・あげくエビってしまうという状態になり、使用感はかなり悪くなりました。
自作ルアーメモ②|実際の使用現場を想定して設計する
- キャスト時に失速や回転を起こす可能性がないかを確認する。
- 実際に使用する足場の高さ、波、流れを想定し、ライン角度がついても水を掴める浮力・浮き姿勢・ヘッド形状を考える。
- 穏やかな場所だけでなく、可能であれば実際に使うフィールドに近い環境でもテストする。
ルアーのアクションを意識しながら設計する
そして次に作ったのがこちらです。

なんかペンギンみたいで可愛いですよね。地味にお気に入り。
この時期から、「ルアーの形状によってどんなアクションが出るのか」を考えるようになりました。
市販ルアーを実際に動かしたり、アクション動画を見たりしながら、ルアーの形状と動きの関係を自分なりに勉強していきます。
まずはポッパーから作ると分かりやすい
個人的には、初めてトップウォータープラグを自作するなら、ポッパーは比較的挑戦しやすいと思っています。
ポッパーは形状とアクションの関係を比較的理解しやすく、カップの大きさや深さによって噛む泡の量や引き抵抗が変化します。
さらに浮き姿勢やウェイト配置によっても、ポッピングのしやすさや首振りの出方が変わります。
また、短めのボディは首振りやダイブを出しやすく、ロングボディは直進性や飛距離を出しやすい傾向があるように感じています。
もちろん形状だけで決まるものではありませんが、浮力や飛行姿勢を考えながら設計すれば、自作初心者でも実釣で使えるルアーを作りやすいジャンルだと思います。

初期のポッパー。浮力計算もガバガバでトレブルも7/0とか乗る残浮力ですが、アクションは普通に出来ます。
ダイビングペンシルはかなりシビア
一方のダイビングペンシルはかなりシビアです。

ダイペンは形状によってモロにアクション差が生まれます。
ポッパー以上に形状のバリエーションが多く、少し形やウェイト位置が変わっただけでも動きが大きく変わる印象があります。
私なりの理解では、ダイビングペンシルはロッド操作で頭部を水中へ入れ、その後に受ける水流と浮力の戻りを利用してアクションさせるルアーだと考えています。
そのため、薄めのボディなら平打ちするようなアクションが出やすく、ラグビーボールのような丸みのある形状では、ボディ全体で水を受けてブリブリと泳ぐような動きが出やすいように感じます。
例えばマリアのラピードは、比較的軽い入力でもアクションさせやすいダイビングペンシル。

10kgクラスのキメジ。ラピード+ST-66の4/0がガッツリフッキング(口に掛かってたのは外しちゃってますが)
一方で、シマノのオシア ヘッドディップやマリアのローデッドなどは、ボリュームのあるボディで水を受けながら泳ぐタイプという印象です。
また、ルアーの頭から背中へかけて角度がついている形状では、ダイブした後も水中へ入りやすく、長く水中を泳がせやすいものがあります。
もちろん、実際のアクションは浮力や重心、フック重量、ライン角度、ロッド操作などによっても大きく変わります。
同じペンシルでもアングラー側の入力によって異なる使い方ができるので、単純に形状だけで全てを決めることはできません。
それでも、自作を始めてから市販ルアーを見ただけで「これはこんな感じに動きそうだな」と、ある程度想像するようになったのは大きな収穫でした。

そうしてみると、初回作成のダイペンは要点を押さえることができていなかったことがよくわかります。そりゃ潜らない訳だ(笑)
出したい動きから逆算して作ってみる
この頃の製作では、飛距離をしっかり出しつつ、波が高い環境でも水面を滑らず、しっかり潜るペンシルを目標にしました。
さらに動き自体はキビキビと激しくしたかったため、素材には再びバルサを使用します。
バルサは軽く浮力が高い一方で、表面強度には不安があります。
そのため、コーティングはかなり厚めにして様子を見ながら調整していきました。
何度も磯や離島の堤防へ持ち込み、実際にキャストしてテスト。
結果として、アクションはかなり良い感じになりました。
飛距離も、それまでに作った自作ルアーの中ではダントツ。

この上側のペンシルは何度かチェイスやバイトを取っており、ヒットもしたのですがバレてしまいました。
頭部が水を受けやすい形状にすることで、ジャークするとリップレスミノーのように水中へ潜り、その後アクションしてくれるという、イメージに近いルアーになりました。
まだこのルアーでは魚をキャッチできていませんが、磯で何度もチェイスやバイトを得ています。
磯へぶつけてボディがへこんだこともありますが、そのたびに補修してエポキシを重ねています。
こうやって壊れたら直し、またフィールドへ持っていくのも自作ルアーの面白いところ。
市販ルアーなら浸水した時点で修理を試して、ダメなら諦めることもありますが、自作だと「なんとか復活させたい」と思うので、どんどん愛着が湧いてきます(笑)。
自作ルアーメモ③|狙うアクションを先に決める
- 設計段階で狙うアクションを明確にしておくと、テスト時に何を修正すればよいか分かりやすくなる。
- 「格好いい形を作る」だけではなく、「どんな状況で、どう動かしたいか」から逆算して形状を考える。
- 後方重心は飛距離を出しやすい一方、ボディ形状との組み合わせによっては飛行姿勢が不安定になる。
- 必要に応じて前方にもウェイトを配置し、実際に投げながら調整する。
飛行姿勢を考えるようになる
前回の製作で学んだことから、その後は飛行姿勢についてもかなり考えるようになりました。
以前は「できるだけ尻尾側を重くすれば飛ぶ」と単純に考えていました。
しかし実際に投げてみると、後方重心だからといって必ずしも綺麗に飛ぶわけではありません。
尻尾側が先行して飛んでいても、頭側が軽すぎたり、ボディに風を受けやすいフラットな面があったりすると、頭が押されてルアーが回転したり、飛行姿勢が不安定になったりします。
特に比重の軽いバルサや、軽めの桐材を使用する場合は、お腹や頭側にもウェイトを配置しながらバランスを取る必要があると感じました。
比重のある木材×細身ボディを試してみる
そこでこのタイミングで考えたのが、
「ヒノキのようにある程度比重のある木材と細身のボディを組み合わせれば、風を切り裂いて飛ぶルアーになるのでは?」
というもの。
そうして作ったのが、名前を付けていないので個人的に「サンマ」と呼んでいるルアーです。

これもラッカースプレー+アルミシートなのですが、なんかデザインも気に入ってよく使ってます。泳ぎはZのようにキビキビ入ります。
サイズは225mm、重量は90〜95gほど。
アクションはトップウォーターというよりも、水面直下をヒラヒラと泳ぐような感じになりました。
そして肝心の飛行姿勢。
向かい風12〜13mほどになるとさすがに失速しますが、低弾道を意識してキャストすれば、向かい風の中でも十分使用できる飛距離を出せました。
デザインはまだかなり適当ですが、こいつもなかなかのお気に入りです。
自作ルアーメモ④|飛行姿勢は形状とウェイト配置の組み合わせ
- 使用する木材の比重やルアー形状に合わせてウェイト位置を調整し、最適な飛行姿勢を探す。
- 単純に後方重心へすれば必ず飛ぶわけではなく、頭部やボディが風を受けたときの姿勢も考える。
- 軽いバルサ製ルアーでは、コーティングを重ねた後に飛行姿勢が安定したこともあった。
- 最終コーティングによって全体重量や重量配分も変化するため、完成後にもキャストテストする。
塗装を意識し始める
そして、ここまでラッカースプレーで塗装してきましたが、ついにエアブラシを購入します。
まぁ、趣味として考えるとなかなかの投資です(笑)。
ただ、せっかく時間をかけて削って作るのであれば、最後はできるだけ綺麗に仕上げたいと思い導入しました。
そして出来上がったのが、このあたりのルアー達です。
バルサ製ダイビングペンシル
こちらのダイビングペンシルはバルサ製。

我ながら少しは上達したでしょうか。
強度面では多少課題がありますが、尻尾側にメインウェイト、お腹側にカウンターとなるウェイトを配置しているため、飛行姿勢はかなり安定しました。
アクションもバルサらしく、キビキビと泳ぎます。
275mm・約135gのロングポッパー

そしてこちらのロングポッパー。
全長275mm、重量は約135gあります。
大型ルアーですが、引き抵抗は比較的軽く、カップも良い感じに泡を噛んでくれます。
ボディが長いためキャスト方法には多少工夫が必要ですが、自分が普段使用している同クラスの市販ルアーと比較しても、遜色ない飛距離を出せるようになりました。

18000Hで気持ち良く投げられます。いやぁ自作を投げるのって楽しいですよね。
一度、伊豆諸島でこのルアーの後ろに大きな水柱が上がったことがあります。
残念ながらルアーには触れてくれませんでしたが、自作ルアーに魚が反応した瞬間はやっぱり嬉しいですね。
自作ルアーメモ⑤|エアブラシは薄く少しずつ塗る
- エアブラシは必須ではありませんが、塗装まで楽しみたいなら早めに導入しても良いと思う。
- 塗料は一度に厚く吹かず、薄く重ねる。
- アワビシートやアルミシートは表面保護にもなりますが、貼る量によって重量が増えるため、アクションや浮力への影響も確認する。
- 塗装・シート・最終コーティングまで含めて完成重量として考える。
まとめ|「作りたい形」から「出したい性能」へ
ここまで、自作ルアーを作りながら自分なりに学んできたことを書いてみました。
しばらく製作から離れると、こういう細かいことはあっという間に忘れてしまうので、自分用の備忘録としても残しておこうと思います。
最初は「とにかく大きいルアーを作りたい」というところから始まりました。
しかし何本も作って、実際に磯へ持ち込み、失敗を重ねるうちに、
- 木材の比重
- 浮力と残浮力
- 重心位置
- ウェイト配置
- 飛行姿勢
- 水の受け方
- 使用するフィールド
- 素材の強度
- コーティングによる重量変化
まで考えるようになりました。
一番大きく変わったのは、「作りたい形を作る」のではなく、「出したい性能から逆算して設計する」ようになったことだと思います。
もちろん、今でも普通に失敗作はできます(笑)。
ただ、自分でルアーを作るようになってからは、市販ルアーを見ても「なぜこの形なのか」「なぜこの場所に重心があるのか」「なぜこの浮き姿勢なのか」と考えるようになり、ルアーそのものの見方がかなり変わりました。
個人的には、魚を釣ることだけでなく、こうやってルアーの構造やアクションを考えるようになったことも、自作を始めて良かったところだと思っています。
最近はロックショア用の大型プラグだけでなく、シイラ用のジャークベイトなども製作しています。

今後も実釣で分かったことや、新しく失敗したこと(笑)が増えたら、この記事へ追記していこうと思います。
